t-PA治療について
脳卒中の発作から数時間以内の急性期の治療は、救命と重大な後遺症を残さないためのカギを握っています。
脳梗塞は、多くの血栓が原因となるので、血管内での血液凝固の予防作用を増強する血栓溶解薬t-PAを使って血栓を溶解し、脳への血流再開をはかります。これがt-PA静注療法です。
しかし、t-PA治療はすべての脳梗塞患者に投与できるわけではありません。
発症から3時間以内の治療開始が必要となります。病院での検査・診断と患者さまとご家族さまに対するインフォームドコンセントを考えますと、遅くとも発症2時間程度以内に病院に搬入されていないと治療はできません。つまり、症状がある場合は早急にt-PA治療の可能な病院へ受診することが大事です。
脳血管内治療について
脳血管内治療とは開頭せずにカテーテルと呼ばれる管を足の付け根から頭の血管まで挿入して、X線透視をしながら、脳血管障害・脳腫瘍などの治療を行う新しい手術法です。開頭術と比べると、病巣周辺の脳への影響がなく、治療困難な部位でも到達可能で、何より心身共に患者様への負担が少ないことが特徴です。脳塞栓の治療方法としては、血管の細くなっている部位を器具を使って拡げて流れを良くします。脳腫瘍の場合には、腫瘍に栄養を運ぶ血管の中までカテ−テルを挿入し、栄養血管を詰めて血液を流れなくします。また、クモ膜下出血の主な原因となる脳動脈瘤を血管の中からコイルで塞栓する治療や、脳動静脈奇形の出血源を治療することにより、脳出血が起らないようにします。
物忘れ外来について
物忘れには正常加齢によるものと病的認知症の初期段階とがあり、早期診断が重要となります。
物忘れ外来では、ちょっとした物忘れが病的認知症によるものかどうかを診断し治療を行います。
最近、こんな物忘れはありませんか?
- 大切な物をなくしたり、置き忘れたりする。
- 何度も同じことを言ったり、聞いたりする。
- 日付を忘れ何回も確認する。
- 同じ物を何回も買ってしまう。
- 通帳や保険証・カギなどをなくして作り直す。など
脳ドッグについて
当院では、最新の脳ドッグのガイドラインに沿って、脳ドッグ検査を行える施設です。
脳ドッグのガイドラインでは
- 中・高齢者に対して脳ドッグを積極的に勧める
- 脳卒中の家族歴、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙などの危険因子を有するリスクの高い者に対して重点的に受診を勧める
と検査対象が推奨されています。
脳の病気は自覚症状が現れないことがあります。
脳ドックを受け、現在の脳の状態を把握することで、病気が見つかったときは早期治療に繋がります。
また、病気が見つからなくても、健康な脳を維持していくために生活習慣の改善に努めていきましょう。